2014/07/06

エンダーのゲーム





【物語】
虫型宇宙人フォーミックの突然の襲来、地球人は多大な犠牲を払いながらもその攻撃を退けた。そして人類は次の攻撃に備えた。50年後、人類はフォーミックたちの住む惑星が死を迎えようとしているの知る。そしてフォーミックたちは再び軍事力を整えつつある。人類はフォーミックの惑星に先制攻撃を掛ける計画をたてる。その攻撃の指揮官を育てるために、優秀な子供を集めて軍事教育を行っていた。エンダーはその子供の一人に選ばれ宇宙にあるバトルスクールに入学する。攻撃の日は近い。

 悪くはない、何か足りない気がするが、最後まで退屈せず観ることが出来る。
 所々気になるのは軍隊に対する無知さだ。軍隊ってやつは大昔にナポレオンが作って以来、基本的なことは何も変わっちゃいない。例えば軍隊の代名詞的な動作に敬礼ってのがある。これは一見ただ単に手をピシっとして眉毛の当たりに持っていけばいいだけのようだが、それは違う。ルールがある。しかもこの敬礼というは挨拶だ、礼儀だ、ルールに従わなければ無礼になる。この映画でもそうだがこのルールを全然知らない連中が多いので、この手の無礼なシーンはよく見かける。
 敬礼の無礼になるルール違反のポイントは2つ。1、敬礼されたら必ず敬礼し返す 2、腕を下ろす順番。
 まず下の人間は上の人間とあったら敬礼をする、そしてされた人間は必ず敬礼を返さなければならい。必ずだ。上の人間を見て敬礼をしないのも無礼だがそれと同じくらいに返さないのも無礼だ。
 エンダーは格下の軍曹に二回敬礼されるが、微笑み返すだけだ。これはもう完全にありえない行動だ。
 二回ともエンダーが敬礼を返さないので2つ目のルール違反が問題になることがないが、説明する。下の人間がまず敬礼する、腕は降ろさない、いや下ろせない。それは自分の右手だがその腕を下ろす権利はこの世に存在しない。まともな常識のある上の人間ならここで敬礼をする、そして上の人間は自分の好きな時に右手を下ろす権利を有している。上の人間が下ろしたら、下の人間は右手を下ろすことが出来る。上の人間より先に手を降ろすのは無礼だ。
 なので、このルールに従うなら、敬礼を無視されたらこの世の終わりまでその場で敬礼をし続けなければならないのだが、たいていは無視した人間がどっかに行ってしまえば、舌打ちして右手を下ろすことが黙認されている。
 こいうSFで軍事的な事を描いた作品でやはりピカイチなのは、作者に従軍経験がある宇宙の戦士だろう、基本がしっかりしているので地に足がついた感じで、これを超えるのに出会ったことがない。
 だがこのエンダーのゲームにも地に足がついたようなリアリティがある箇所がある。エンダーが艦隊の指揮を執ることだ。最初、15歳のガキが数万人規模の艦隊の指揮をとるというのにそんなバカなと思ったが、実際に指揮を執るシーンで納得いった。処理しなければいけない情報が多すぎるのだ。様々なインターフェイスを使って一気に情報を処理しなければならない。これはまさにゲームだ。エンダーの部下たちがPCを動かすのにいくつかのキーがついたタイプマウス、よくPCでゲームをする連中が愛用するタイプをつかっているのは良かった。リアリティがある、キーボード叩くだけなんてSFでありえない。それ以外のインターフェイスも相当、リアリティがある感じで良かった。


※以下ネタバレ
 
 エンダーは最後に卒業試験のシュミレーションで、全ての味方艦隊を犠牲にしながらも、敵艦隊を打ち破り敵の母星を滅ぼす。エンダーは上官たちからいまのが実はシュミレーションでなく本当の艦隊を遠隔操作していたと告げられる。エンダーは一つの種を滅ぼしたことに、そして自分が犠牲にした艦隊に人が乗っていたことを知り激昂する。激昂する。
 だがここらへんはリアリティがある。司令官には冷酷さも必要だ、時には捨て駒を捨て、敵を討ち滅ぼす冷酷さが。これは少年にはないものだ、だがゲームをプレイする少年にはある。その冷酷さをもつ老練な司令官は既に実際に宇宙艦隊を指揮するのに必要な情報を処理することが出来ない。が、老練な司令官はその指揮を少年に託すことは出来る、事実を伏せて。
 最後、基地のすぐ外に敵の女王が隠れていて、宇宙に旅立つ当たりは、展開がマッハのスピードでちょっと面食らったが、全体的には楽しめるSFだった。原作も読んでみたいと思える。