2014/08/19

持ってるDVDを改めて観る ハード・ターゲット/Hard Target


【物語】※ネタバレあり
 ホームレスが武装した男たちに追われ、無残に殺された。男たちは元軍人のエミール(ランス・ヘンリクセン)という男の部下だ。エミールの仕事は退屈した金持ちに、狩場を世話してやることだ。獲物は人間だ。

 ナターシャは行方不明の元軍人の父ジョンを探して、ニューオリンズの田舎町にやって来る。ナターシャは地元のチンピラに襲われた所をチャンスという男に助けられる。ナターシャはチャンスに父の捜索の手伝いを頼む。二人はジョンの行方を追う。そしてジョンが事故死に見せかけ殺されたことを突き止める。ジョンに日雇い仕事を世話していた男が怪しいと刑事と一緒に乗り込むが、男はエミールの腹心クリーブに殺されていた。クリーブは刑事を撃ち殺し、チャンスとナターシャにも容赦なく散弾を浴びせる。
 チャンスはクリーブたちと戦いながら、負傷するものの逃走に成功する。そして森のなかに暮らす叔父のもとに一旦身を寄せる。怪我を治療し、武装したチャンスはエミール達を廃棄された工場で現在は倉庫になっている建物に誘い込む。狩るものと狩られるものの立場が変わったのだ。
 
【点数】85点(百点満点)

【感想】※ネタバレあり
 素晴らしい作品だ。ジャン・クロード・バンダムの作品の中で一番好きだ。アクションの切れ味も最高だが、さらにバンダムの特徴を生かし切ったアクションが良い。
 ジョン・ウーのハリウッド第一作。この前に香港でジョン・ウーは当時で最高規模のアクション映画を撮影している。アクションの水準も最高で、病院一個まるごとふっ飛ばした制作費も考えれば、当時の香港でこれ以上のものを作るのは不可能だったろう。次のSTEPを考えればハリウッドに渡るしかない。アジア人の監督に与えられるチャンスは一回こっきりだろう。その一作だ。ジャン・クロード・バンダムの役名がチャンスというのもうなずける。
 このチャンスを見事にジョン・ウーはものにした。言ってみればこの作品は当時のジョン・ウーの名刺代わりになる作品だ。面白いだけでなく、ジョン・ウーの香港で培った特有の表現も詰め込んである。例えば、二丁拳銃、鳩、スローモーションの暴力、背中合わせになる宿敵同士。などだ。

この作品は悪役が良い。最高の悪役が一人じゃなく二人いるとこが最高にいい。ボスのランス・ヘンリクセン演じるエミールがドーベルマン然とした猟犬のような男で、金持ち共を堕落させ、楽しんでいる。そして獲物を狩るときはコンデンターという単発のライフル弾を使う拳銃を使う。この単発銃というのがハンターぽく、また二丁拳銃で撃ちまくる主人公にたいしてアクセントになって良い。
 そしてその腹心のアーノルド・ヴォスルー(ハムナプトラのミイラ役が有名)が演じるクリーブ。凶悪で優秀な兵士で暴力装置、エミールに絶対的な忠誠を誓っているが、盲目的ではなくエミールが熱くなるときっちり忠告もする。最高の副官ぶりが良い。この二人の絶妙のコンビ間も観ていて気持ち良い。

 私が好きなシーンはアーノルド・ヴォスルー演じるクリーブが、ある男を処刑するところだ。男はしくじったので町を逃げ出そうと車に乗り込む、エンジンを掛けようとしたところで、クリーブがポンプアクションショットガンを持って現れる。クリーブはショットガンを運転席側の窓から突っ込み、ぶっ放す。スローモーション。フロントガラスが細かく割れ白くなり、散弾と割れたガラスと血が、外に飛び出し、フロントガラスが血に染まる。その美しさに笑いながらふーと声を上げるアーノルド・ヴォスルー。スローモーション。ポンプアクション、排出される薬莢。Wow!!最高に美しい。
 そしてそこにバンダムたちがやって来て、散弾を浴びせられ、バイクを奪い逃げ出す。バイクをつかった荒唐無稽なバンダムのアクションで車を爆破させた所で、ランス・ヘンリクセン演じるエミールがスポーツカーに乗って、現れる。コンテンダー片手に。この次のカットでバンダムが既に全力疾走しているのがいい、スピード感が落ちない、加速する。この中盤の処刑から始まるアクションシーンが最高に好きだ。

 最後の対決の前にウィルフォード・ブリムリー演じるチャンスの叔父さんが出てくる。昔、NHKで放送していた海外ドラマの頑固爺さんと孫三人というドラマで主演をしていた爺さんだ。
 でっぷりとした体型に髭ずら、酒好きの好々爺とした感じのキャラで、弓矢を使いチャンスと共に戦う。家に追つってきたエミール達を爆破で一泡吹かせ、馬で豪快に逃げていく姿は、痛快だ。
 
 倉庫での最終対決は、ジョン・ウーアクションの粋がつめ込まれた内容だ。
 最後に叔父さんがランス・ヘンリクセンに矢で刺され死んだと思っていたが、ウィスキーのスキットが身代わりになって助かったという、アクション映画では相当ベタな展開だが、これがバランスがとれていて良い終わり方だと思う。
 もともとリアリティなどは観客は求めていない、それなにこの好々爺を最後の最後に殺してしまっては、後味にケチがつくだけだ。気持よく終わりたんだ。劇中で善人のホームレスが哀れに殺されたているのでもう十分なのだ。だから、終盤に叔父さんが刺され死んだと思わせて緊張感を上げて、後味用するために生き返らせる。
 こういうバランスが非常に良い、優れたアクション映画だ。バンダムの映画としても、この年代のアクション映画としても、だ。

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